• 代表取締役社長 森 雄一

2010年11月号(vol.19)


世界中が注目したチリ落盤事故。先月、70日ぶりに作業員33名が全員救出され、奇跡の生還を遂げたことは記憶に新しい。70日間も坑内に閉じ込められ、精神的・体力的苦痛は想像を絶する状況下での救出劇の裏には一体何があったのだろうか。

彼らのリーダーであったルイス・ウルスア氏は、事故当初わずかしかなかった食料の分配方法を決め、新たな事故防止のため交代で見張りを立てたという。要は集団の中でルールを決め、全員がそれを守ったことと、一人ひとりに役割を与えることで彼らに生きる希望を持たせたことが大きかったのではないだろうか。この決め事を一人でも無視すればいずれ仲間内で争いが起こり、坑内は戦場と化していただろう。また、地上で生還を信じて待つ家族と交信できたことも彼らの精神を正常に保つ上で重要であったと思う。

役割を与えられることで自分が必要な存在であることを確認し、自分を待っていてくれる家族のために生きて還らねばならないという使命感。どんなに絶望的な状況においても決して諦めず希望を持ち続けることの大切さを痛感する見事な生還であった。

 

代表取締役社長 森 雄一

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