• 代表取締役社長 森 雄一

2015年4月号(vol.72)


大地が冬の眠りから目覚め、生命の息吹を感じる季節、新入社員の入社や配置転換により管理職への道を志す若者に心からのエールを贈りたい。人材育成は経営の本質であり、経営そのものであると言っても過言ではなく、先輩社員の皆さんには愛情を持って強く育てていただくことをお願いしたい。

新入社員研修の中で、「何のために働くのか」というテーマについて話し合った。私は何も口を挟まないが、彼ら自身が「地域のため、会社のためになりたい」という結論を導き出したのは若者ながら立派なものだと感心した。これを読んで「そんなのはタテマエや綺麗事であり、生活のために決まってるじゃないか」と思う者もいるかもしれないが、では彼らの結論は単に世の中を知らない青二才の戯言に過ぎないのだろうか。

今年、メジャーリーグから日本球界に復帰した黒田博樹投手は年棒21億円のオファーを蹴り、古巣とファンに恩返しをしたいと年棒4億円の広島カープと契約した。この決断には誰もが驚き、また黒田投手の男気に賞賛の声が鳴り止まない。個人の利益より他を優先する姿勢が日本人の心を打ったのだろう。心理学者マズローの欲求段階によると人間は生理的欲求→安全欲求→社会性欲求→尊敬欲求→自己実現の欲求の5段階があるとされ、後者に進むほど理性的な人間であるという。「地域のため」と言っても自分の生活基盤の安定が根底にあるのは当然だが、欲求が自分の事だけで終わってしまうのは寂しくないだろうか。この世に生を受けたからには一つでも上の段階へ、さらには世のため人のためという第6の欲求「利他の欲求」に辿り着けるよう、心豊かに人生を生きたいものだ。

 

代表取締役社長 森 雄一

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