• 代表取締役社長 森 雄一

2018年8月号(第112号)


 念願だった黒部ルート見学に幸運にも抽選で当選し、期待に胸を膨らませ参加した。早朝自宅を出発し、富山駅から新幹線で黒部宇奈月温泉駅へ、そこから地鉄に乗り換え宇奈月温泉まで行き、今度は黒部峡谷鉄道で集合場所である欅平へ。ここからが見学区間の黒部ルートとなるわけだが、黒部ルートとは、関西電力が黒部奥山において電気事業運営のための資機材などを運搬する輸送設備で、欅平〜黒部川第四発電所〜黒部ダム間の約18kmのことを指す。私が興味を持ったきっかけは、黒部川第三発電所建設に挑んだ人々の苦闘を描いた小説「高熱隧道(著:吉村昭、出版:新潮文庫)」で、皆さんも是非読んでみてほしい傑作である。

 我が国の電力需要は昭和初期の戦時下から戦後の復興期にかけて急速に高まり、黒部川における電源開発は深刻な電力不足を救う大きな役割を担ってきた。特に世紀の大事業と言われた「くろよん建設」は、7年の歳月と巨額の工事費、述べ1,000万人もの人手により昭和38年に完成した。今の技術をもってしても相当な難工事であるが、当時を想像すれば気の遠くなるほどの工事を先人たちは成し遂げてきたのである。一体何が彼らを動かしたのだろうか、それは世のため人のためという熱い想いと、必ずやり遂げてみせる、負けてたまるかという技術者としての意地と使命感ではなかったか。黒部ルートを抜けて壮大な黒部ダムの放水を目の当たりにしながら、建設業の尊さとそれに携わる誇り、そして素晴らしい技術を後世に伝え、残していかなければならないと強く心に誓った次第である。「挑戦〜to the Next Stage〜」、後半も全力で頑張りましょう!

 

代表取締役社長 森 雄一

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