2018年12月号(第116号)


 今年も残り3週間となり、除夜の鐘が近づいてきたからでもなかろうが、連日「ゴーンゴーン」と耳にする。言わずもがな、日産自動車の前会長、カルロス・ゴーン容疑者の報酬過少記載事件だ。過少記載の総額は計8年間で約90億円に上るそうで、あまりにも現実離れした金額に私の頭が追いついて行かない。

 ゴーン容疑者は1999年に苦境にあえぐ日産にルノーから送り込まれ、コストキラーの異名で「日産リバイバルプラン」を作成、短期間で奇跡のV字回復に導いた経営者である。その経営手腕は世界から称賛され、2001年に発行された著書「ルネッサンス 再生への挑戦(発行:ダイヤモンド社)」はたちまちベストセラーとなり、かく言う私も経営のヒントがないものかと読みふけったものだ。それだけに、今の地に落ちた姿が残念でならない。「衣食足りて礼節を知る」と言うが、足り過ぎは人を変えてしまうのだろうか。「過ぎたるは及ばざるがごとし」、「腹八分目」の教えのとおり、少し足りないくらいがちょうど良い。時節柄、年末ジャンボ宝くじに願を掛ける人も多いだろうが、当たらないほうが身のためですよ。

 

代表取締役社長 森 雄一

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