2025年11月号(第199号)


 「金沢マラソン2025」私の人生最大の挑戦は、願いも虚しく雨に見舞われた。「こんなことなら宣言するんじゃなかった」と後悔する自分もいたが、「人生を変えるなら、このぐらいの試練を乗り越えてみろ」という神様のお告げに違いないと思うと、不思議と心が前向きになってくる。この日のためにランニングメニューを増やし、加えて1週間アルコールを断ったおかげで体調は万全、さらにゴールの瞬間を何度もイメージすることでメンタルも最高潮。そう、全てがうまくいくはずだった。
 ごった返すランナーに注意しながら、緩やかな走り出し。少しずつ隊列がほぐれ、徐々に自分のペースを掴みながら走ると、みるみるランナーを追い越していく。8km過ぎまでは快調で、走ることが楽しいと思えたのは生まれて初めてのことだ。ところが事態はここから急変する。10km過ぎから脚が痛くなり走る歩くの繰り返し、15km過ぎには早歩きだけになり、18kmの関門では収容(タイムリミット)まで残り10分となり、さすがに完走(完歩?)は難しいことを悟る。それでも自分から足を止めて諦めることだけはすまいと必死で歩を進めるが、足が前に出ないとはこのことかと思うほどの痛みが22km過ぎから続き、29km地点の関門であえなくバスに収容されたのでした。
 こうして私の挑戦は幕を閉じた。人生を変える意気込みで臨んだがそれは叶わず、悔しさ、不甲斐なさ、劣等感、絶望感、挫折感に打ちのめされた。かつて次の大会への意気込みを聞かれ、「ハーフハーフ(50/50)」と答えた選手がいたが、とてもそんな気持ちにはなれない自分がいる。黒歴史を引きずって生きるのも、人生の教訓になるだろう。

代表取締役 森 雄一

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