• 代表取締役社長 森 雄一

2024年7月号(第183号)


 2024年7月3日、新紙幣として一万円・五千円・千円札の3券種が改刷された。紙幣の改刷は偽装防止の観点から概ね20年毎に行われており、150年以上にわたり培われた日本の偽装防止技術の結晶がどのようなものか興味深い。
 さて、それぞれの紙幣に描かれる図柄ついて触れてみよう。一万円札の表面には、生涯に約500もの企業の設立などに関わったといわれ、実業界で活躍した渋沢栄一(しぶさわ・えいいち)。裏面には、「赤レンガ駅舎」として親しまれた歴史的建造物(重要文化財)の東京駅(丸の内駅舎)が描かれている。つぎに五千円札の表面には、女子英学塾(現:津田塾大学)を創設するなど、近代的な女子高等教育に尽力した津田梅子(つだ・うめこ)。裏面には、古事記や万葉集にも登場し、古くから親しまれている花「フジ(藤)」が描かれている。そして千円札の表面には、破傷風血清療法の確立、ペスト菌の発見のほか、伝染病研究所、北里研究所を創立し後進の育成にも尽力した北里柴三郎(きたさと・しばさぶろう)。裏面には、江戸時代の浮世絵師・葛飾北斎の代表作で知名度も高く、世界の芸術家に影響を与えた「富嶽三十六景(神奈川沖浪裏)」を描いている。
 キャッシュレス決済が増え、紙幣を手にする機会も少なくなってきたが、未来の紙幣に描かれるのはどんな偉人だろうか。松下幸之助、稲盛和夫、孫正義、もしかしたら大谷翔平かもしれない。

代表取締役 森 雄一

2024年6月号(第182号)


 2月の七尾市、4月の輪島市に続き、能登半島地震の3度目のボランティアとして珠洲市を訪れた。珠洲市は能登半島の先端に位置するまさに奥能登であり、私自身、初めての訪問である。6:30に金沢駅を出発して大型バスにて現地へ向かう。のと里山海道は車両通行が可能になったと聞いていたが、なぜか徳田大津ICで途中下車して一般道を進む。聞くと、車両通行は可能なものの、まだ段差などが多く、とても大型バスが安全に通行できる状況では無いとのこと。なるほど進むにつれて道路は凹凸や段差、亀裂が目立つ。珠洲市は田舎のため、住宅や店舗が密集した輪島市の朝市の空襲後のような強烈なインパクトは無いが、建物や道路の被害はかなりの深刻さで、震災後5ヶ月を経過した今でも断水が続いている。
 9:45ボラセンに到着し、班分けと役割分担を行う。軽トラの運転ができるという人が40人中で私を含め7人、2tトラックがたったの2人で、私は2tトラックを運転することになったのだが、私たちにとって当たり前の車両の運転が、一般人には容易で無いということを目の当たりにして驚いた。また、今回痛感したのが安全講習でも行った「機械縛り」の重要性だ。私は現場から離れているため必要無いと覚えようともしなかったが、しっかり覚えておく必要がある。こんな私でさえ有り難がられるのだから、本職である工務部の皆さんの力は、被災地にとっては救世主となるだろう。どうか皆さんの力を、被災地の方々の笑顔のために発揮してほしい。

代表取締役 森 雄一

2024年5月号(第181号)


 先月、新規実習生の面接のため、ハノイを訪れた。コロナ禍ではリモート面接だったため、約5年ぶり4回目の訪問である。今回は2名を募集したのだが、応募者がとても少なく、直前まで面接見送りになるかもしれないという状況。その原因として円安の為替影響による日本離れや、建設業の人気の無さがあるのだが、そのような中でもベトナム送り出し機関の当社に対する評価と信頼関係によって、何とか4名の応募者を集めていただいたことに感謝するばかりである。悩みに悩んだ末、2名の採用を決定、どちらもまだ18歳と若いが、仕事はもちろん日本語習得への意欲も高く、来日がとても楽しみだ。
 1人の実家がハノイから2時間弱で行けるというので、翌日、家庭訪問することになった。ただ訪問してご挨拶だけするよりも、きっとご家族は、息子がどんな所へ行くのか心配だろうから、その不安を少しでも和らげることができればと考えたのが、写真スライドの作成だった。富山県が日本のどこにあるのか、富山の素敵な観光名所や美味しい食べ物、散居村の風景、会社社屋や仕事風景など、即席にしては良くできたもので、わざわざ仕事を休んで出迎えてくれたお母様にとても喜んでいただけた。
 久しぶりのハノイでの面接を通して、やはり対面とリモートでは得られる情報量と、彼らに対する思い入れが全然違うことを実感した。また、ご家族とお会いして築いた信頼感は、本人たちへの支援にも繋がるだろう。実習生に限らず、入社する社員は皆、入社までの物語がある。入社後、その物語の続きがどうなるのか。ハッピーエンドは本人だけでなく、皆で描いていくものである。

代表取締役 森 雄一

2024年4月号(第180号)


 2月の気温を考えると、今年の開花は相当早くなるのではないかと思われたが、3月の寒の戻りによって、富山市の開花は4月2日、観測史上最も早かった昨年より11日遅い開花となった。この社内報が発刊される頃は、満開の桜が私たちを楽しませてくれているだろう。我が社では4月1日に2名の女性社員が入社し、まさに春爛漫といったところだろうか。建設技術者としてはまだ未熟な蕾であるが、彼女たちの向上心と先輩たちの温かい指導によって、技術者として満開の花を咲かせることを期待している。
 厳しい冬を乗り越えて草花が一気に芽吹き、心踊る季節のはずなのだが、ついに私も花粉症になったようだ。実は昨シーズンからその兆候が現れていたのだが、病は気から、自分は花粉症になるはずがないと突っぱねてみたものの、先月から鼻水、くしゃみ、目のかゆみにたまらず病院へ。抵抗の術なく、あえなく花粉症の烙印を押されてしまったのである。恐るべしスギ花粉・・・。はたして花粉症との戦いは、この先ずっと続くのであろうか。そう思うと、春といえども心が晴れないのである。

代表取締役 森 雄一

2024年3月号(第179号)


 先月末の日曜に、能登半島地震の被災地である七尾市でのボランティア活動に参加した。義援金などの支援もそうだが、自分にできることがあるなら直接協力したいとの思いから、個人的に石川県災害対策ボランティアに登録して参加することとなった。
 当日は早朝に石川県地場産センターに集合し、大型バスで被災地へ向かい、ボランティアセンターでのオリエンテーション後、班ごとに分かれて活動を行った。私の班は3軒の民家において、破損した家具や冷蔵庫の搬出、倒壊したブロック塀の撤去、そして廃棄物の仮集積所での分別作業を行った。七尾市では倒壊した家屋は見られなかったのだが、それでも物凄い量の廃棄物が集積されており、珠洲市や輪島市ではこんな比ではないだろうと想像できた。ボラセンで聞いたところ、その時点では被災者から2500件ほどのボランティア依頼があるが、まだ500件ほどしか対応できておらず、まだまだマンパワーが足りていないことを実感した。奥能登という地理的条件がゆえの導線の不足、被災地までのバスと運転手の不足、宿泊地が無いために現地での活動時間が限られること、様々なマイナス要素が絡み合い、復興までには相当な年月が必要だろうと感じた。
 今回、被災地をテレビや新聞を通してではなく、自分の目で見たことで、被災地への支援の意識がより一層高まった。一日も早い復旧復興を目指して、がんばろう能登、がんばろう北陸!

代表取締役 森 雄一

2024年2月号(第178号)


 先日、久しぶりに家電量販店へ行ったのだが、あまりの品揃えの多さに驚かされた。特にパソコン関連の周辺機器は多岐にわたり、何に使うのかさえ分からないものだらけで、改めて時代について行けない自分が情けなくなった。家電における三種の神器の歴史を振り返ると、昭和時代は「テレビ、洗濯機、冷蔵庫」といういわゆる白物家電であり、日本の高度成長と共に一気に家庭に普及した。平成時代になると「携帯電話(スマホ)、薄型テレビ、ロボット掃除機」へと変化する。平成初期はポケベルが主流で、携帯電話は平成5年〜10年に急激に普及、テレビは平成23年にアナログ放送が終了したことから一気に薄型化した。ロボット掃除機の普及は、女性の社会進出も大きく関係しているのではないだろうか。そして令和時代は「テレビ(4K/8K)、冷蔵庫、ロボット掃除機」だそうで、テレビやロボット掃除機は更に高性能に、冷蔵庫はAI機能を搭載するなど、私たちの暮らしがより便利で快適になっていることが分かる。
 私も若い頃はどちらかといえばこの分野が好きで順応していたと思うが、最近はもうお手上げ状態で、老眼のせいか説明書を読むことさえ億劫になってきた。これではいけないと思いつつも、体が言うことを聞かない。これが老いるということなのだろうか。ちょっと待て、「病は気から」とも言うのだから、気持ちだけは若々しく、何事にも挑戦していこうと自分を奮い立たせている。

代表取締役 森 雄一

2024年1月号(第177号)


 穏やかな新年を迎えることができ、大変嬉しく思います。今年のスローガンを「成長し続ける強い企業への脱皮」としました。私が社長に就任した19年前、建設業界全体が「建設冬の時代」と言われるほど非常に厳しい時代でした。当社も例外ではなく、完成工事高は10億円から一気に6億円にまで落ち込み、赤字へと転落しました。「このままでは会社が立ち行かなくなる」と強い危機感を持ち、経営計画を立てPDCAサイクルによる経営を行い、何とか苦境を乗り越えてきましたが、まだまだ目標達成という部分において甘さが見られ、検証から改善へと繋げられていない現状があります。この停滞した現状を打破すべく取り組むのが人材評価制度の導入であり、社員と会社の明るい未来に向けてもう一段ギアを上げて取り組んでいきます。
 今年の干支である「甲辰(きのえたつ)」には、「成功という芽が成長していき、姿を整えていく」という意味があるそうで、まさにスローガンに合致するものです。これまでの様々な取り組みによる変化、それを経た現在の停滞期から、一皮剥けた「成長し続ける強い企業への脱皮」へ向けて、全社一丸となって邁進していきましょう。

代表取締役 森 雄一

2023年12月号(第176号)


 先日、となみ野アスコン(株)のアスファルトプラントを建設していただいた田中鉄工(株)さんの九州工場見学のため佐賀県を訪れた。となみ野アスコンはアスファルト合材出荷量が減少する中、経営の合理化を目的として、3プラントを集約して9社が出資する会社であり、私も出資構成員として役員になっている。
 工場でひと通りの説明を聞いた中で印象に残ったのが、近年ではフォームドアスファルトという合材の開発・実験に力を入れているということ。フォームドアスファルトとは、制御装置内で加熱アスファルトに微量の水または水蒸気を添加することによって発生させた泡状のアスファルトで、耐久性に優れワーカビリティが良好な上に経済的とのことで、これを使用することによって舗設時の合材敷均し温度を20〜30度低くできるのだそうだ。特に夏場の厳しい暑さの中、150度近いアスファルト合材を扱うのは過酷なもので、これが現場で使えるようになれば熱中症リスクの低減、新技術採用による評価点数のアップに間違いなく繋がるだろう。
 そしてもう一つ驚いたのが、SDGsや環境負荷低減に対する熱心な取り組みであり、田中鉄工さんでは廃食用油をリサイクルしてエネルギー活用しているのだ。食用油は植物性のため植物が育つ段階で二酸化炭素を吸収することからCO2排出量を大幅に抑制でき、カーボンニュートラルに大きく貢献するのだ。
 以前にも書いたが、地球温暖化対策は待った無しの問題であり、我が社においても他人事では済まされない。電気自動車やハイブリッド重機の導入、低燃費運転のための急アクセル抑制やアイドリングストップ等々、出来ることはたくさんある。社員が意識を変えて組織ぐるみで取り組んでいく会社こそが、世の中に貢献し必要とされるのだろう。

代表取締役 森 雄一

2023年11月号(第175号)


 コロナ禍により開催が見送られていた「つどいの会」が、4年ぶりに開催される。新入社員はもちろんのこと、今回初参加となる社員も数名いることから、改めて目的や意義について説明しておこうと思います。
 森組の協力会である「森和会(しんわかい)」は、森組の発展、伸長に協力すると共に会員各自の職域を通じて総合的な力を発揮し、建設業の重要性に鑑み絶えず研究工夫を加え技術向上に努めると共に、会員相互の親睦協和を図り会社との円滑なる取引を目的として、昭和56年9月に会員社数27社(現在46社)により設立されました。そして「つどいの会」は森和会が主催するもので、森組の社員と協力会各社との親睦を深めることを目的として平成2年から続いています。
 私たちの仕事は、我が社単独で完結するものではありません。工事に協力してくださる施工会社、資材や材料を提供してくださる方々など多くの人たちの協力のおかげで成り立っていることを忘れてはいけません。「だれかの笑顔のために」は、協力会各社の笑顔にも繋がっているのです。どうかこの機会に多くの会員の皆様と積極的にコミュニケーションを図り、日頃の感謝をお伝えする場になることを願っています。

代表取締役 森 雄一

2023年10月号(第174号)


 ラグビーW杯フランス大会の熱戦が続いている。前回の日本大会では日本代表がベスト8入りして大いに盛り上がったが、私も4年に一度のにわかファンとして日本代表を応援している。この原稿を書いている時点では日本代表は2勝1敗で、10/8のアルゼンチン戦に勝利すれば2大会連続の決勝トーナメント進出となるが、果たして結果はいかに。
 今大会の日本代表も素晴らしい選手が揃い期待されるところだが、プロップの稲垣啓太選手は大会前に、「スクラムは1人では組めない。僕が一番大事にしていることは、8人が何をすれば同じ方向に進めるかということ。誰かだけが頑張ってもスクラムを崩してしまう要素にしかならない。全員が役割を理解して同じ方向に進んだときに一番強いスクラムが生まれる」と語っている。磨いてきたスクラムで決勝トーナメント進出を果たしてほしい。
 今年も残り3ヶ月を切り、ラストスパートに入りました。全員が役割を理解し、同じ方向に強い力で進んでいけるよう、ミーティングとコミュニケーションをしっかり取っていきましょう。

代表取締役 森 雄一

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