2021年11月号(第151号)


 先日会合の関係で、県内のホテルに宿泊した。コロナ禍により大打撃を受けている観光・宿泊業者を支援することを目的とした「地元で楽しもう!とやま観光キャンペーン」を利用するとお得だということで早速利用したが、これにはとても驚かされた。キャンペーンをざっくり説明すると、県民が県内の宿泊施設を利用する場合、プレミアム宿泊券を使うと半額で宿泊できるというもの。今回は7600円の宿泊代をプレミアム宿泊券8000円分で支払い(実際の支出は4000円)、さらに「おみやげクーポン券」が2000円分もらえるため、実質2000円の出費で済むのである。確かに懐に優しく利用意欲も高まり、宿泊業者にも恩恵のあるシステムだが、その財源は税金であり、私たちや次の世代に負担がかかるわけで、果たしてこれで良いのだろうかと恐ろしくなった。
 このコロナ禍により、支援や救済のための財政出動が当たり前になり、どんどんエスカレートしているように思える。自助努力ではどうにもならない困窮者を救うことは国として重要なことだが、「コロナ禍がずっと続いて欲しい」という小規模飲食事業者が存在するのも現実で、もっと効果的な施策を議論する必要があるのではないだろうか。今回の衆議院選挙においても、各党の公約には現金給付や税金の減額など、目先だけのバラまき公約が目立つ。私も含め、人間は一度楽を覚えるとなかなか元には戻れない生き物だ。一時の甘い汁は麻薬のようなもので、人間自体を、ひいては国をも滅ぼしてしまう。1日も早くコロナが終息し、自らの力で生きる意欲を取り戻す日が来ることを祈る。

代表取締役社長 森 雄一

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