• 代表取締役社長 森 雄一

2022年8月号(第160号)


 安倍晋三元首相が選挙演説中に銃撃され凶弾に倒れるという、銃を持たない日本において信じられない、あってはならない事件が起きた。保守派を象徴する政治家で、日本において無くてはならない存在を失ってしまったことは国家的損失であり、心からご冥福をお祈りします。
 安倍元首相は、我が国の憲政史上最長となる政権を築き、経済政策や外交政策を中心に多大な功績を残された。まずは「デフレからの脱却」を掲げて放ったアベノミクス三本の矢により株価が回復、有効求人倍率も上昇し経済を成長軌道へと導いた。外交では「地球儀を俯瞰する外交」を推し進め、集団的自衛権の限定的な行使を容認し、安全保障関連法を成立させるなど、国際社会における日本の存在感をまぎれもなく押し上げた偉大な国家リーダーであった。
 今後気になるのは、あれだけの国家観を持ち、戦略的に国益に寄与するリーダーに誰がなりうるのか、自民党の悲願である憲法改正が実現するのか、その動向に注視したい。

代表取締役 森 雄一

2022年7月号(第159号)


 1951年の統計開始以来、最も早い梅雨明け。梅雨の期間はわずか14日間で、期間中の降水量は平年の30パーセントあまりとのこと。私たち建設業にとって雨は苦悩のタネであり、雨が少ないのは非常にありがたい。ましてやほ場整備などの土工事においてドライワークができることは、生産性向上にも繋がったことだろう。しかし喜んでばかりもいられない。農作物への影響からくる食料品の高騰、ダムの貯水率低下による夏場の水不足など、私たちの生活へ与える影響は少なくない。
 また先日ではKDDIによる大規模な通信障害が発生し、通話や通信だけでなく、物流、金融サービス、気象観測など様々な分野において大混乱を招く事態となった。さらには猛暑による電力不足によって、生活や企業活動にも少なからず制限が及んでいる。
 このような異変や異常が起きるたび、平時のありがたさや便利さを改めて実感する。いつも通りでいられることがいかに幸せなことか。あたりまえに感謝したい。

代表取締役 森 雄一

2022年6月号(第158号)


 先月ある日の夜中、普段は起きるはずのない時間に目覚めた。程なくみぞおちあたりにチクチクする断続的な痛みと、手と腕に蕁麻疹が見られるなどの身体の異変に気付いた。はて一体何だろうか?と不安に駆られながら記憶を辿ると、思い当たるフシが一点あった。昨夜食べたシメサバが原因か?もしやこれがアニサキスなのか?痛みでウトウトと目覚めを繰り返し、ようやく朝を迎えたが、一向に痛みは治りそうにない。病院に行くべきかどうか途方に暮れていたところ、ふと思い出した。そうだ、我が社にはアニサキスの第一人者がいるではないか!
 彼の朝は早く、いつもなら6時半ごろには出社してくるはず・・・ということで6時まで待ち、すがる思いでO君にTEL、コール早々に元気な声で出てくれた。恥ずかしながら事訳を話し、彼の経験談を拝聴する。いつもは長いなと思う彼の話も、今回は事細かな説明がとてもありがたく、まさに救世主のように思えるから不思議なものだ。かくして病院にて見事アニサキス2匹を駆除するに至ったのである。OA君、本当にありがとう!
 私の今までのリーダー像とは、どんな時でも弱みを見せず、絶対的な安心感のあるリーダーだったが、今春より社会人になった娘から、「私の上司は弱い部分も見せてくれ、何でも話してくれる。だから力になろうって思う」と聞き、私に足りない部分を痛感した。もちろん頼りになる部分も保ちつつ、これからは弱い部分も出していこうと思う。それにより親近感が増し、意見を言いやすい雰囲気になれば、より社員の笑顔に繋がるのではないだろうか。

代表取締役 森 雄一

2022年5月号(第157号)


 今年のゴールデンウィークは3年ぶりに緊急事態宣言などの行動制限がなく、さらに好天も手伝ってか、多くの人出があったとの報道もあり、Withコロナの時代をいかに有意義に過ごすかが一つのポイントになっているのだと感じる。
 話は変わり、NHKの大河ドラマ「鎌倉殿の13人」が回を追うごとに面白くなってきた。今作は、平安時代後期から鎌倉時代前期を舞台に、主人公「北条義時」が源平合戦を経て、北条家が鎌倉幕府において最高権力を持つ「執権」となるまでの生き様を描いた物語である。新都鎌倉を舞台に繰り広げられるパワーゲームに、毎回ハラハラドキドキしながら楽しませてもらっている。
 「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という言葉があるが、独りよがりな愚か者は学ぶことなく自分の考えだけで行動して失敗し、その経験から自分の間違いを知るが、賢明な者は自分が経験できないことでも先人たちが経験したこと、すなわち歴史を学ぶことでたくさんの経験を身につけることができるという意味だという。歳を重ねるごとに、経営の難しさを身に染みて感じる今日このごろ、まだまだ勉強するのみである。

代表取締役 森 雄一

2022年4月号(第156号)


 桜の開花宣言も出され、春爛漫の季節を迎えた。そして我が社では6年ぶりとなる新入社員が2名入社し、その初々しさと新鮮さは桜に引けを取らないほど社内の雰囲気を一変して華やいだものにしてくれている。そんな姿を見ると、若さの持つパワーがどれだけ魅力的なものであるかを痛感する。現在は5月中旬まで続く新入社員研修の真っ只中であるが、笑いあり涙ありの連続であり、様々な経験を通して立派に育ってくれることを期待する。
 後輩ができるということは先輩社員にとっても変化をもたらすようで、先日の社員会議では発言のトーンがいつもより明らかに高くなっており、お互いに刺激をもたらす相乗効果も期待される。新入社員だけでなく、会社全体が成長していきたいものだ。
 新年度の発注計画を見ると、今年もフル回転になることが予想されるため、受注した工事から段取り良くスタートダッシュで進めていくことが最重要ポイントとなります。スピード感をもって、生産性向上へ繋げていきましょう。

代表取締役 森 雄一

2022年3月号(第155号)


 ロシアがウクライナに対する軍事侵攻を開始して以来、連日のように悲惨な光景を目にすると、いたたまれない気持ちになる。なぜこの現代において、戦争という愚かな行為を選択しなければならなかったのか。いかなる理由があろうとも、武力による侵攻は断じて許されるものではない。一日でも早い平和的解決を願うばかりである。
 世界で唯一の核被爆国であるわが国も、かつては諸外国と戦争を行い、さらに遡れば日本人同士による戦が行われていた。当時の日本は現在のような中央集権国家ではなく、人々には同じ「日本人」という感覚は希薄で、地域や領土が異なる者は敵としており、互いの権利や主義を主張するがために争いを行ってきた悲惨な歴史がある。それが今は五輪などスポーツでは国民が一つになり、日本人としての帰属意識や愛国心が芽生えるのだから、平和な現代に生まれたことに感謝したい。
 ひとり一人性格が違うように、考え方も人それぞれであるし、ましてや国と国であれば国益を優先させるため、様々な衝突はあるだろう。しかしそこは互いに冷静に平和的に解決していかなければならない。全世界を一つの人間という仲間と考えれば、愚かな選択には至らないのではないだろうか。
 来月からは、待望の新入社員が入社します。同じ会社の大切な仲間として、人間尊重の精神で温かく迎え入れましょう。

代表取締役 森 雄一

2022年2月号(第154号)


 コロナ禍になって早2年が経つが、この間「エッセンシャルワーカー」という言葉をよく耳にするようになった。「essential(必要不可欠な)worker(労働者)」という意味で、感染リスクがある中においても、人々の生活を維持するために現場で働き続けなくてはならない人たちへの感謝と敬意を込めて使われているという。具体的には医療従事者や公務員、介護福祉分野の方々、運送配送に関わる方々、保育士や教職員、電気・ガス・水道やゴミ収集に関わる方々など、社会インフラに関係する職業の人たちである。
 私たちも建設業に携わり、社会インフラ整備や災害対応、冬場の除雪など、地域の安心安全を守るためになくてはならない存在であり、重要なエッセンシャルワーカーだと言える。現在、第6波で感染者数が過去最高を更新し続けているが、ひとたび社内に感染者が発生すれば事業活動は停止し、会社はもちろん社会への影響も計り知れないだろう。オミクロン株は重症化しにくいとのことではあるが、今しばらく感染防止に十分気をつけていただきたい。何者にも変え難い唯一無二の存在が建設業であり、私たちが元気でいることこそが、地域の笑顔をつくるのだから。

代表取締役社長 森 雄一

2022年1月号(第153号)


 健やかに新年を迎えられたこと、大変嬉しく思います。今年の干支は「壬寅(みずのえとら)」で、寅は「決断力と才知」の象徴で「始まり」の意味もあり、縁起物としても重宝されています。一方で壬は大河や海洋の水を意味し、良きも悪きもすべて飲み込むような度量の大きな性質を指します。したがって「壬寅」は「陽気を育み、春の胎動を助く」という意味であり、冬が厳しいほど乗り越えた春の芽吹きは生命力にあふれ、華々しく生まれるということを表しているのだという。つまり、大きく飛躍するためには地道な自分磨きが必要なのだそうです。
 今年は経営計画発表の際に説明したとおり、業績予測は非常に厳しく、まさに真価の問われる年であると言えます。この厳しい状況を乗り越えるには、ひとり一人が地道な努力を続けていくしかありません。その原動力となるのが「だれかの笑顔のために」というスローガンです。一人でも多くの人を笑顔にすることができたなら、おのずと社員全員が笑顔になっていることでしょう。トラのように力強くたくましく、2022年を駆け抜けていきましょう!

代表取締役社長 森 雄一

2021年12月号(第152号)


 早いもので今年も残すところあと3週間となった。先日は2021流行語大賞が発表され、年間大賞に「リアル二刀流/ショータイム」が選ばれた。言うまでもなくMLBア・リーグMVPに輝いたエンゼルスの大谷翔平選手だが、今季は私たち日本人のみならず世界中のファンを魅了し熱狂させるほどの素晴らしい成績を残した。そんな彼も故障や手術、「二刀流など成功するはずがない」という様々な困難を乗り越えてきたわけだが、その原動力には、ファンが喜んでくれる姿を見たいという思いと、自分がこうなりたいと思った目標に対して諦めたくないという思いがあり、そのための努力を楽しいと思えるメンタルは、私たちも見習うべきものがある。今後の更なる活躍を楽しみにしたいものだ。
 少し立場は変わるが、我が社にも建築技術者が土木や舗装の応援をするという二刀流が存在する。年間通じて建築工事に携わらせてあげられない状況に申し訳なさを感じているが、彼らが積極的に協力してくれることや技術を習得しようとする姿に頼もしさと感謝の気持ちを抱かずにはいられないし、新たな可能性が広がることに期待するばかりだ。
 「働き方改革元年 いまから、ここから」社員全員が笑顔で2021年を締めくくることができるよう願っています。

代表取締役社長 森 雄一

2021年11月号(第151号)


 先日会合の関係で、県内のホテルに宿泊した。コロナ禍により大打撃を受けている観光・宿泊業者を支援することを目的とした「地元で楽しもう!とやま観光キャンペーン」を利用するとお得だということで早速利用したが、これにはとても驚かされた。キャンペーンをざっくり説明すると、県民が県内の宿泊施設を利用する場合、プレミアム宿泊券を使うと半額で宿泊できるというもの。今回は7600円の宿泊代をプレミアム宿泊券8000円分で支払い(実際の支出は4000円)、さらに「おみやげクーポン券」が2000円分もらえるため、実質2000円の出費で済むのである。確かに懐に優しく利用意欲も高まり、宿泊業者にも恩恵のあるシステムだが、その財源は税金であり、私たちや次の世代に負担がかかるわけで、果たしてこれで良いのだろうかと恐ろしくなった。
 このコロナ禍により、支援や救済のための財政出動が当たり前になり、どんどんエスカレートしているように思える。自助努力ではどうにもならない困窮者を救うことは国として重要なことだが、「コロナ禍がずっと続いて欲しい」という小規模飲食事業者が存在するのも現実で、もっと効果的な施策を議論する必要があるのではないだろうか。今回の衆議院選挙においても、各党の公約には現金給付や税金の減額など、目先だけのバラまき公約が目立つ。私も含め、人間は一度楽を覚えるとなかなか元には戻れない生き物だ。一時の甘い汁は麻薬のようなもので、人間自体を、ひいては国をも滅ぼしてしまう。1日も早くコロナが終息し、自らの力で生きる意欲を取り戻す日が来ることを祈る。

代表取締役社長 森 雄一

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